小学校の跡地が次世代型の科学体験施設に。地域に開かれた“ ワクワク” の創造拠点から描く未来
2024.02.19
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「Reloca」は地域独自の魅力を発見し、磨き、地域が自身の力を発揮できる「実業」をつくり出すプロジェクト。今回は東京都杉並区に新たにオープンした、旧小学校を活用した次世代型の科学体験施設「IMAGINUS」レポートする。

少子化にともない廃校になる公立校の数は、全国で毎年平均470校。全体のおよそ20%は新たな活用方法を見出されないまま放置され、施設の維持・管理にかかる費用が人口減少が進む自治体財政を圧迫している。

そんな廃校活用の先駆的な事例が、2023年10月7日に東京都杉並区高円寺で生まれた。杉並区と「株式会社コングレ」が官民連携を図り企画運営にあたる、次世代型の科学体験施設「IイマジナスMAGINUS」だ。前身となったのは、100年に迫る歴史を有しながら、近隣の小中学校との統廃合のため2020年に役目を終えた「杉並区立杉並第四小学校」。IMAGINUSは地上3階建て、延べ床面積6446㎡の校舎と体育館を、小学校当時の記憶を伝える雰囲気はそのままに、誰もが気軽に利用できる科学体験施設にアップサイクルして造られた。

IMAGINUSのコンセプトは「生きる力を涵養(かんよう)する」。学校教育の中で学年が上がるにつれて関心が薄れていきがちな科学が、実は驚きと感動に満ちた楽しいものであり、知的好奇心や探究心、創造力など、豊かな人生を切り拓く上で欠かせない力を育む、可能性に富んだものであることを伝えたいという願いが込められている。

数あるコンテンツの中でも特徴的なのが、「科学体験ラボ」で開かれる新感覚のサイエンスショー「Nutty Scientists(ナッティサイエンティスト)」だ。これは個性豊かな博士と助手に扮したエンターテイナーたちが、誰もが科学をネタに笑い、驚き、ワクワクできる場を生み出す、日本初上陸の科学体験学習プログラム。欧州発のプログラムを、日本式のお笑い要素などを取り入れて親しみやすくアレンジして作り上げられており、ステージ上の博士と助手の掛け合いや身近な不思議を紐解く実験などを通して、参加者の日常と科学の世界を鮮やかにつないでいく。

ものづくりラボ

ショップ・自由工作室

さらに、館内には3Dプリンターやレーザーカッターなどを使ったものづくりが体験できるラボや、本格的な器具を使って実験に没頭できる実験室なども完備。「不思議に思う感覚」を原動力に進歩し続ける科学の世界に触れ、心に芽生えた〝ワクワク〟を誰もが自分らしい方法で心ゆくまで探究し、育むことができる。

IMAGINUSの運営体制は、杉並区が民間事業者に土地と建物を貸し、事業者が自ら施設を整備・運営する、独立採算制を基本としている。同施設の館長を務めるゼネラルマネージャーの小林直樹さんに運営方針について聞くと、「これまでの科学館は学校教育の延長線上にあるものとして捉えられることが多く、館内展示やワークショップも勉強要素を盛り込んだ堅い内容になりがちでした。でも、科学ってもっと自由で開かれたものでいいと思うんです。IMAGINUS は民営科学館としての特性を活かし、エンターテインメント性を前面に出した自由度の高い科学を表現して、多くの人が『科学っておもしろい!』と実感できる場づくりを大切に運営していきます。大人向けのサイエンスショーやワークショップなどもたくさん開催していきますので、ぜひ足を運んでいただき、新しい科学の世界との出会いをお楽しみください」と語ってくれた。

館長・ゼネラルマネージャー 小林 直樹

学びへの視座を高める、地域に開かれた科学への新しい扉。子どもたちと心を躍らせる科学との出会いが、どんな化学反応を起こすのか。「IMAGINUS」のこれからと日本の科学の未来に注目だ


IMAGINUS

住宅街に立地する旧小学校の特性は、”開かれた科学体験施設”というIMAGINUSの個性に。誰もが創作活動に打ち込める「ものづくりラボ」や自由工作室、キッチン完備の集会室、多国籍料理を提供するカフェなどを併設することで、幅広い層の利用を見込む。

所在地:東京都杉並区高円寺北2-14-13
アクセス:JR中央線「高円寺駅」より徒歩5分
休館日:第1、3火曜日、年末年始(12/29 ~ 1/3)※その他、臨時休館あり
開館時間:9:00 ~ 21:00 ※プログラムによって開催時間が異なる場合があります
WEB:https://www.imaginus-suginami.jp/

※本記事は『TURNS』より転載したものです

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